家族ってなんだろう?

夏のとびら (あかね・ブックライブラリー)

夏のとびら (あかね・ブックライブラリー)

児童書☆ミニバスに打ち込こんでいる主人公麻也(小6)の家族が、お兄ちゃん(中3)の警察沙汰をきっかけに、坂を転げ落ちるように壊れていく。
パパもママも、お兄ちゃんや麻也の言葉に耳をかしてくれない。それぞれがバラバラな方向を向いてしまう。
壊れていく家族のことを親友にも話せず、関係は最悪の状態になってしまう。
こどもが感じている「生きている」世界は、家族と学校……小さいのだ。本当は違うのだけど、気づけない。

私はこの作品に自分の子どもの頃が重なった。環境や状況は全く違うが、家族というものに縛られて、苦しいのに逃げられず、早く大人になりたいと思った日々。
もうとっくに大人になって、息子もいるというのに、私の子ども時代の苦しみは、心の中で終わりになっていなかったようだ。
泣けて、泣けて、しかたがなかった。
麻也とお兄ちゃんがかわいそうで。ついでに、私の子ども時代もかわいそうで。