走る少女

走る少女 (わくわく読み物コレクション)

走る少女 (わくわく読み物コレクション)

*[児童書]☆主人公比呂は中学1年。兄は有名私立大学からスポーツ特待生の内定をもらうほどの陸上選手だった。しかし、比呂を助けようとして交通事故にあい、陸上の道を断念することになった。
比呂はそれを心の深い傷として抱え、陸上のことが気になりながらも、走ろうとはしない。
そんな比呂の心を陸上部へと見えない糸で導いたのは、同じ中1の季里子だった。彼女は、陸上部きってのスプリンターだ。
彼女の父親はかつて、オリンピック候補になるほどのスプリンターだったが、オリンピックの選考レース中にアキレス腱断絶で、候補になれず、傷害事件などを起こし姿を消した。季里子が小学校に入学するときは、母や季里子の前からもいなくなっていた。
季里子は比呂と違い、走る。なぜか。父を感じることができるのは走っているときだけだからだ。
そんな二人の少女と、やはりそれぞれに問題を抱えた陸上部の面々が、総体にむけて日々「走る」。
中学の陸上部を舞台に思春期をそれぞれの「自分」らしく、ひたむきに走る(生きる)姿を描いた物語である。