走る少女
- 作者: 佐野久子,杉田比呂美
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2007/01/26
- メディア: 単行本
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比呂はそれを心の深い傷として抱え、陸上のことが気になりながらも、走ろうとはしない。
そんな比呂の心を陸上部へと見えない糸で導いたのは、同じ中1の季里子だった。彼女は、陸上部きってのスプリンターだ。
彼女の父親はかつて、オリンピック候補になるほどのスプリンターだったが、オリンピックの選考レース中にアキレス腱断絶で、候補になれず、傷害事件などを起こし姿を消した。季里子が小学校に入学するときは、母や季里子の前からもいなくなっていた。
季里子は比呂と違い、走る。なぜか。父を感じることができるのは走っているときだけだからだ。
そんな二人の少女と、やはりそれぞれに問題を抱えた陸上部の面々が、総体にむけて日々「走る」。
中学の陸上部を舞台に思春期をそれぞれの「自分」らしく、ひたむきに走る(生きる)姿を描いた物語である。