月下花伝
- 作者: 越水利江子
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 単行本
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薄命であることをこちらが知っているからか、どこか悲しげなまなざし。
けれど、その瞳の奥に強い信念のもとに生きている強さも感じる。
中学生の頃、沖田総司のことを休み時間などにウットリというか、キャアキャアというか、話していたことがあります。
やはり女の子の間では、歴史上の人物の中でダントツの人気ではないでしょうか。
主人公の秋飛(あきひ)は、現代を生きる17歳の少女です。幼い頃に両親を失い、姉の春姫(はるひ)とともにおじいちゃんに育てられます。
しかし、そのおじいちゃんも他界してしまいます。
祖父・月倉恒道は、古流剣術の道場主で、秋飛はその剣術を習っていて、おじいちゃんを心から慕い、尊敬していたのです。
失意の日々を送る秋飛ですが、高校をやめ、夢であった映画女優への道を歩むことを決心します。
秋飛のエキストラとしての修行の日々。
そんな中、憧れの沖田総司に出会い心通わせることになります。
時を越えて……どんなふうに出会うことができるのでしょうか。
その出会い方がとても素敵でした。これは、私の好みということになるんでしょうが、
学生の頃、モノクロの日本映画にはまった時があって、映像の中のなんともいえない空気が大好きでした。いつか映画の仕事をしたいなんて思っていたこともあります。
「月下花伝」には、そんな映画制作の裏側もしっかり書いてあって興味深いです。
もう、何年も前ですが、京都を旅するのが好きで年に1〜2回出かけていた頃があります。その中で一番の思い出と言ってもいいのは、新撰組ゆかりの「壬生寺」を訪ねたことなんです。
その頃、新撰組のドラマを見ていてどうしても行ってみたかったのですが、
お寺近くで道に迷いました。何度か京都を旅して、初めて地元の方に道を聞いたのです。
その本物の京言葉にものすご〜く感動したのを思い出します。
ようやく出会えた「壬生寺」は、静かなお寺で、新撰組に集まった隊士たちのことを思うと、感慨深いものが心にこみあげてきました。
「月下花伝」を読んで、また訪ねてみたくなりました。