かはたれ

かはたれ (福音館創作童話シリーズ)

かはたれ (福音館創作童話シリーズ)

河童の子ども「八寸」は人間ならば8歳。
もっと幼い頃に、ある事件から両親や兄弟たちと離れ離れになってしまいます。
もう、20年(人間の時間で2年)たったひとりで、浅沼という小さな沼で暮らしていました。
ですが、河童達が住むような沼のある山にも、人間の「開発」という手が伸びてきます。「八寸」が、生死もわからぬ家族を待つ浅沼も、干上がってしまうかもしれないのです。
河童の長老は、ある事件がもとで、他の河童族から、つまはじきにされている「八寸」に人間世界へ修行に行くようにと言います。
「八寸」は、猫に姿をかえて人間の住む街へと旅立ちます。
鎌倉の自然を背景に描いた、「八寸」と人間の女の子「麻」の物語です。

なんといっても、河童「八寸」の健気な可愛さが心を打ちます。
ハラハラしたり、心がキュンと痛かったり、クスッと笑ったり。
とても丁寧な描写で、物語がゆっくりと進んでいきます。
鎌倉の自然にゆったり身をおいて本を読んだ〜という感じです。
私、鎌倉を歩くのが大好きです。いつも北鎌倉駅で降りて歩き、鎌倉駅から帰路に着きます。でも引越しをして遠くなってからは、なかなか行けません。
10年前に鎌倉で買ったのがプロフィールの写真(招き猫)です。とても気に入っています。
そして、近いうちに行こうと思っていたのが、なんと物語の舞台散在が池の辺りでした。本を読んだら、よけいに行きたくなりました。