言いたいことが言えない子の物語です。

児童書ではありませんが……。
文芸書☆ きよしこ ☆重松清・作(新潮文庫

「少年」はうまくしゃべれない子です。無理をしてうまくしゃべろうとすると、言葉の最初の音がとまらなくなるのです。吃音といいます。
私はあまりくわしくないのですが、この物語を読むと特に苦手な音というのがあるようです。その「少年」が大学受験をする頃までの物語です。

プロローグに「君を励ましたり支えたりするものは、君自身の中にしかない。」という文章があります。
ストーリーはこの視点から描かれている、自己との戦いです。
言いたいことが思うように言えない子には、こういうケースもあるんだと気づかされました。
でも、「少年」は言える言葉に置き換えたり、時に爆発したりしながら戦い、成長していきます。「強い子だなあ」と思います。激しい生き方だと感じました。


実は、文庫本の裏表紙に、「少年」は、ひとりぼっち、言いたいことがいつも言えずに悔しかった、などと書いてあるので、「性格的に言いたいことが言えない子」の話かなと思い読んでみたのです。
我が家の長男が性格的に「言えない子」なので。
言葉がしゃべれるのだから……とはいかないのです。個性ですね。
幼稚園に通っていた頃、長男も自分が空想した友達を玄関で待っていたことがあります。いっしょに遊んだりもしてました。
こういう、ちょっと見たとこではわからない「言えない子」もつらいです。
私もそうだったから。

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次男が「1ねん1くみ1ばんえらい」を読んでいて、
「ねえ、この子(ぼく)なんで雑巾で顔をぺろんってやられて、泣くんだろう?」
と聞いてきた。
そりゃあ汚い雑巾で顔をふかれたらイヤでしょう。次男君ならどうするの?
「やりかえす!」
それは、まずいね。
長男君ならどうする?
「先生よんでくる」
そうなんです。長男は、やられても泣くこともないだろうし、怒ることもないのです。たぶん。