イタリアの昔話

子どもに語るイタリアの昔話

子どもに語るイタリアの昔話

児童書☆子どもに読んであげることも考えた構成になっている。
剣持弘子訳・再話のイタリアの昔話が15話と
平田美恵子・再話協力による「お話について〜語る人のために〜」が収録されている。
イタリアのお話は、グリム童話にはない、オリエント(主に中近東やギリシア)の香りがする話が多いらしい。(「はじめに」より)

私が15話の中で一番印象深かったのは、『ヤギとコオロギ』。
おばあさんの大事なブドウを食べてしまうヤギを、ロバや犬などが追い払おうとするが、結局、一番小さなコオロギが追い払うという話。
「ヤギ」といえば、『おおかみと七匹のこやぎ』や『あらしのよるに』などなど、「弱いもの」としての役どころが多いが、ここでは、おばあさんの大切な畑を荒らす、すばしっこく、するどい角を自慢する「強いヤギ」なのだ。
そして、「コオロギ」というのも珍しいなあと思う。
さて、どうやってヤギを追い払ったのでしょう?

イタリアっぽいというと、『三つのオレンジ』の「ミルクのように白くて、血のように赤い娘」という表現や『水晶の小箱』の美しい娘に「キスをしておくれ」という竜のセリフ。風土の違いをすごく感じる。
ミルクのように白いのは肌で、血のように赤いのは唇です。
白雪姫の王子さまもキスはするけど、「してくれ」とは言わないし。
情熱的だなあ……。